宮原酒店


JR鹿児島本線、折尾駅徒歩5分程、角打ちの「宮原酒店」さん。福岡に出張に来て3日目、昨晩で仕事は終了、本日は土曜ということも有り休みを取りフライトの時間まで角打ちを中心に廻って見ることにしました。私の愛読書 "古典酒場 "には次のように紹介されています。「北九州市は角打ちの街である。1963年門司市、小倉市、戸畑市、八幡市、若松市が合併して誕生した。いわゆる北九州工業地帯にあり、炭鉱を有し、明治時代から製鉄を中心に重工業が栄えた地域である。富国強兵の時代、この地域には工業が集中し、人海戦術出増産を目論む工場には人があふれた。激務を終えて工場から吐き出された労働者は、酒にひとときの癒しを求めた。しかし、徹夜明けの朝早くから呑み屋はやっていない。酒が手に入るのは酒屋しかない。彼らは、まだ店先の掃除もままならない酒屋の戸を開けさせ、酒を求め、その場で呑み干した。立ち呑みそのものは、すでに江戸時代からである。しかし北九州市に広まった角打ちは、このような背景に基づくものではなかったか。北九州市で角打ちのできる店はおよそ150軒といわれている。しかし、その数はどんどん減り続けている。」 博多駅からJR特急で30分程の折尾で下車、徒歩5分程のところに「宮原酒店」さんはポツンと佇んでいます。創業から150年を超える老舗とのこと。看板こそ出ているものの一見では酒屋さんとはわかりずらい外観、店内に入るとすぐ左手に立ち呑み用の長いカウンター、中にはお母さんがお一人で店番をなさっていました。壁には整然と綺麗にお酒やアテが並べられており、お店も古いながらも掃除が行き届いておりとても清潔感のあるお店です。ご常連さんが入って来ました。カウンターで缶ビールを呑みながら、女将さんと話をして、ものの5分程で出て行かれました。女将さんの優しい接し方といい、パッと来てサッと帰る呑み方といい、何か良い感じですね。皆さん、女将さんを慕って集まり、ワイワイガヤガヤと楽しむのでしょう。完全に地域の寄合場、コミュニティと化しています。それも角打ちの役目の一つなんでしょう。大変残念ですが、私もこの後が有るので失礼します。ご馳走さまでした。

TOKIO古典酒場 沿線酒場〈京成・世田谷線〉編 (SAN-EI MOOK)

TOKIO古典酒場 沿線酒場〈京成・世田谷線〉編 (SAN-EI MOOK)