田中酒店


JR鹿児島本線、戸畑駅徒歩10分程、角打ちの「田中酒店」さん。小倉を後にし博多へ戻る途中で戸畑駅で下車、「田中酒店」さんを目指します。今回楽しみにしていたお店のひとつです。住宅街をプラプラ歩いて行くと昭和の匂いがプンプンしてくる立派な建物が現れました。お店の角に真赤な自動販売機が置かれているのが残念ですが、とても趣きのある魅力的なお店です。愛読書「古典酒場」によれば 「田中酒店」さんは大正2年に山口県から現在の土地に移転、大正10年に八幡製鉄所の戸畑作業所が操業を開始し始めたのに呼応し、昼夜問わず店に人が溢れかえるようになり、お店に並べた四斗樽のお酒が瞬く間に空になるほどの勢いだったとのこと。また戦前の戸畑には278軒の酒屋があったが戦中の配給制出42軒まで減り、戦後89軒まで盛り返したものの、現在はおよそ60軒程だとも書かれています。恐らくその中でも一、二を争う規模のお店であったと推測されます。店内へ入って見ると見事な造作、太い梁に高い天井、隅々まで手入れが行き届いており、清潔感溢れ、昭和の匂いがプンプン立ち込める空間となっています。暫くは声も出ず、ボーっと眺めてしまいました。サッポロの赤星を頂きます。この昭和の匂い立ち込む雰囲気の中で呑む赤星の味は格別ですね。カウンター前の棚にはとても立派な陶製の樽が綺麗に並べられています。一番大きいのは四斗樽でしょうか。升も大小、ビシッと揃えられており、まるで博物館の様なお店ですね。ご主人のこだわりが伝わって来ます。冷蔵庫も趣きがあると思いきや何とアメリカのGE製のかなり古い大型冷蔵庫ですね。このお店の繁栄が垣間見えます。しばらくは店内の何とも良い空気を感じながらの酒場浴、この時間は本当に最高です!また必ずお邪魔します。ご馳走さまでした。

TOKIO古典酒場 沿線酒場〈京成・世田谷線〉編 (SAN-EI MOOK)

TOKIO古典酒場 沿線酒場〈京成・世田谷線〉編 (SAN-EI MOOK)