大衆酒場カネス


都営新宿線一之江駅徒歩12〜3分程、創業昭和7年、その名もズバリ「大衆酒場カネス」さん。こちらのお店の存在を知った時から是非お邪魔したいと思っており、今回念願叶ってのお邪魔となりました。都営新宿線は全線開通が1989年、平成元年と比較的新しい路線、一部地上を走る所も有りますが一之江駅は地下に造られ比較的新しいことも有りその廻りは街というよりはマンションの建築が進み都心への通勤通学の為の駅と言った感が強いですね。「カネス酒場」さんは一之江駅からポツリポツリと商店が点在する幹線道路をテクテク歩くこと12〜3分程、ポツンと赤い提灯の灯りが見え始めたと思ったら、昭和の匂いがプンプン漂う何とも魅力的な佇まいの建物が目の前に現れました。昭和好きの私にとってこの雰囲気は満塁ホームラン、完全にノックアウトです。間口は扉が6枚もある広さ、そこに2つの暖簾が連なっています。一つは自然とやれて微かに読み取れる "大衆酒場 " という文字、もう一つは "中華そば " と書かれた暖簾です。もちろんそれぞれ真ん中には"カネス" の文字が入った立派な暖簾、提灯と相まってまるで映画のセットの様な、いやいや決してちょっとやそっとのことでは作ることの出来ない歴史の詰った雰囲気がそこには有ります。一呼吸してから店内へ、奥に厨房、その前にU字型のカウンターにテーブルが2卓、椅子は全て木製の長椅子等々、この雰囲気、空気感に二度目のダウンです。先客はテーブルの3人組さんにカウンターにお1人とこれまたまったりした良い感じです。運良くカウンター正面にお邪魔することが出来ました。カウンター内には大女将さんが座ってらっしゃいます。お歳は90超とのこと、バリバリの現役とは素晴らしいですね。「焼酎ハイボールと柳川をお願いします。」お見掛けしたところ厨房は息子さんでしょうか、息子さんと言ってもそこそこのお歳ですが(笑)のんびりと柳川をつつきながら酎ハイをグビグビ、それにしてもこのゆったりと時間が流れるマッタリ感の心地の良いことと言ったら堪りませんね。カウンターのご常連と大女将さんの会話が柳川以上の良いアテとなり、気持ちがポカポカしてきます。そろそろ〆にと「ワンタンメンを頂けますか。」とお願いしました。このラーメンも何とも清い一杯、如何にも東京の醤油ラーメン然とした懐かしい味、器の萬来軒との文字は何の意味なのでしょう、深い物語が隠れている様な気がしてなりません。「お会計をお願いします。」「ハイ、えっ〜と (パチパチパチ)」五つ玉の大きいな年季の入ったそろばんを大女将さんがはじきお会計をして頂きました。いつまでもお元気で、そしてこの酒場を宜しくお願い致します。ご馳走さまでした。