豚児














地下鉄東銀座駅徒歩2,3分程、昭和風情タップリのとんかつ屋さん「豚児」。国語が苦手の私ゆえ、このお店を知るまでは恥ずかしながら「豚児」と言う言葉さえ耳にしたことは勿論、その意味さえ全く知りませんでした。「豚児? 豚の児とは変な店名だけれど、良い響きだなぁ」としか思わなかった次第、自分の子供を謙っていうときに使う言葉であると知ったのはつい最近の事です (^^;;  少し調べたので付け加えれば「豚児」は、三国志曹操の言葉に由来するとの事。(『三国志・呉志・孫権伝』)。「子を生まば当(まさ)に孫仲謀(そんちゅうぼう=孫権)の如くなるべし。劉景升(りゅうけいしょう=劉表)の児子(じし)の如きは豚犬(とんけん)の若(ごと)きのみ」これは、赤壁の戦い以後、中々孫権に勝てない曹操の台詞で「子供を生むなら孫権のような骨のある子が欲しいものだ。それに比べると、おめおめと投降した劉表の子など、豚や犬並みだ」という意味になり、この故事を踏まえて、自分の息子をへりくだって呼ぶ時に用いるようになったそうです。食堂巡りも時には勉強になるものです(笑)場所は建替え中の歌舞伎座の裏手、この辺りは銀座と言えど静かな路地が縦横に走り、飲食店もポツポツとしか点在しない街、そんな裏路地に静かに佇む「豚児」は暖簾が出ている訳でもなく、営業しているのか、はたまた人によってはお店なのかさえ分からないで有ろうその外観は、昭和の匂いプンプンでとても良い感じです。辛うじて分かるのは「只今  営業中」とかすれた文字で書かれた木札のみ、幸いなことに本日は木札が下がっていました。戸を開けて店内に入ると先客は無く、店主がテーブルで帳簿と格闘中 「あっ、いらっしゃい! ちょっ、ちょっと2分、2分だけ待っててね。そこに座ってて、悪いね。」「全然、大丈夫ですから、ゆっくりで良いですよ、写真を撮って良いですか?」「えっ、こんな古い店撮ったって仕方ないでしょ(笑)どうぞどうぞ!」こちらは店内を拝見しているだけで十分時間が潰れます。奥に結構な広さの厨房を構え、ゆったりした大きさのテーブルが5卓程、こじんまりと言うよりは余裕のある以外にもスッキリとした空間です。私の座った椅子は昔の列車のようなボックスシート型、ほぼ直角に背もたれが立っています。1人用の椅子も同じ素材で凝った作り、どう見ても既製品には見えません。完全にオーダーメイドと思われます。とんかつ屋さんでオリジナルの椅子等とは、それだけでも昭和を感じてしまいます。「いやぁ、ごめんなさいね。何にされますか?」「ビールととんかつライス (800円) をお願いします。」「はい、どうぞ。」と出された瓶は麒麟、小皿には菜の花のおひたしと何も言うこと御座いません!この昭和な空間で麒麟ビールに菜の花のおひたしとはもうこれだけでも大満足、私にはとても贅沢な時間です。トントントンとキャベツを刻む音やジュワ〜とカツを揚げる音が耳に入って来ます。「お待ちどうさまです。」カラッと揚がったとんかつは油切りもシッカリとされた美味しいとんかつ、更に嬉しいことはご飯も美味しいこと、時にご飯で全てが台無しになる事が有りますが、申し分無い美味しさです。気が付けばご主人はまた帳簿と格闘の始まり、「ご馳走さまです。」「有難うございます。 」大満足の「豚児」詣でとなりました。ご馳走さまでした。

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