おかとく





都営地下鉄浅草線、本所吾妻橋駅徒歩10分程、これぞ昭和の下町もんじゃ「おかとく」さん。太陽ギラギラの炎天下、押上から両国を目指し汗だくになりながらのこれぞまさしくブラリ旅と、全く当ても無く歩き回った次第、魅力的なお店がないものかと思っていた矢先に目に留まったのが「おかとく」さんでした。「お好焼 もんじゃ」と墨で筆書きしたような真白な清い暖簾が下がった昭和風情漂う1軒のお店、開け放たれたガラス戸からもしかしたら休業か準備中?と近づけばお店の中もこれまた何とも良い昭和風情、店内にはどなたもいらっしゃいません。「すいませ〜ん!」「・・・・」「すいませ〜ん!!!」「はーい。」と口をモグモグさせながら奥から出てきたのは私の母ぐらいのお母さん、どうやらお食事中だったようです。「氷だけでも頂けますか?」「ええ、どうぞ。それで何にしましょうか。」嬉しいことに営業されているようです。「取り敢えず瓶ビール(大瓶550円)を頂きながら少し考えますから、奥でゆっくりしていて下さい。欲しくなったら声を掛けますから。」「そうですか。ビールは自分でそこから出して下さいね。じゃぁ。」「あっ、それと写真を撮らせて頂いて良いでしょうか?」「ええ、構いませんよ。」と優しいお言葉を頂いて、お母さんは奥に戻りました(笑)冷たいビールをくぅぅと頂いて、改めてメニューを拝見すればもんじゃが300円、お好み焼きが400円からと完全に昭和価格、一番高いもんじゃでも明太子の450円とは驚くばかりです。それにしてもどこを見てもクーラーはおろか扇風機も無く有るのは団扇のみ、汗が止まるどころかとめど無く噴き出して来ます。これも完全に昭和ですね(笑)折角の機会故、もんじゃを頂きたいのはやまやまですが食事を済ませたばかりでお腹がパンパン、泣く泣く氷を頂くことにしました。奥にいるお母さんへ「イチゴお願いしまーす!!」(250円) 「はーい!」氷を頂きながらお母さんと少しお話をする事が出来ました。元々は氷問屋を営んでいたものの、昭和30年代に入り三種の神器と言われた電気冷蔵庫が普及し始めた為に、昭和33年12月に「おかとく」という屋号をそのまま継いで、もんじゃ屋さんを始めて54年経つこと、「昔は子供のおやつだったのに今ではねぇ〜 」とか、「夜に来て呑む人は回転が悪くて待っているお客さんに申し訳ない」とか(笑)等々、「あれっ!このラムネ吾妻橋の興水舎さんのじゃないですか!」見れば「吾妻ラムネ」との表記、製造元は酎ハイで良くお世話になっているアズマ炭酸を作られている創業大正14年の興水舎さん、「ええ〜、そうですよ。昔は飲み口の所まで全部ガラスだったんだけどね。2年位前にもうあの瓶は出来ないからって変わってしまったんですよ。うちは付合いが古いからって、最後の最後まで頑張ってくれていたみたいなんだけどねぇ・・・」なんか寂しい話ですが、とてもほんわかと温かみを感じます。これは是非、明日来てもんじゃを頂かなければと「また明日、もんじゃを頂きに来ますから!ご馳走さまでした。」とお店を後にしました。日が明けて翌日のお昼、開店と同時にお邪魔しました。「こんにちは!」「あらっ、いらっしゃい!」「お母さん、瓶ビール(550円)貰いますね。それともんじゃ(300円)をお願いします。あっ、ベビースター(50円)も貰いますね。」お母さんが火を点けてくれ準備に取り掛かります。いつもながら昼間のビールの美味しさといったら堪りません!昨日同様汗はダラダラですが・・(笑)「はい、お待ちどうさま。」ドンブリいっぱいに盛られたもんじゃはボリューム満点、これで300円とは本当に驚きです。もちろん全てがセルフサービス、鉄板に油をひいてもんじゃに目分量でソースを投入、土手は作らずに一気に鉄板へと流し込みました。ジュワ〜ジュワ〜、そこにベビースターを入れてトントントンとコテで細かく潰しながら火を通していきます。とても有難いことに鉄板の熱が私に温風をもたらし、汗はガンガン噴き出すは、ビールは温まるは(笑)でもなんだか久し振りにとても心地良い暑さ、冷房に慣れてしまっている事に猛省する次第です。焼き面をしっかりと焦がしてから、小さなコテではがしながらフーフー頂くもんじゃは素朴ながも天下一品の美味しさ、ビールはあっという間に底を尽き、「吾妻ラムネ(120円)」にチェンジ、もちろん自分でビー玉を落とし、噴き出るラムネを少しでも頂こうと慌てて口を近づけます。いやぁ〜これもまた昭和の光景、私の顔はニヤニヤするばかりです。「吾妻ラムネ」は強めの炭酸がとても良い喉越し、もんじゃとの相性も抜群です。「ご馳走さまでした。」お母さんが算盤をはじきながら「ええっと、1020円ね。」最後の最後まで堪りません。連日のお邪魔となりましたがお陰様で大満足のもんじゃ呑みとなりました。次回は是非子供達にも経験させたいと思います。ご馳走さまでした。
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