菊屋




都営浅草線押上駅徒歩5,6分、昭和の匂いプンプンの食堂「菊屋」さん。スカイツリーソラマチの影響ですっかり今時の街になってしまった感の有る押上の街ですがそれはごく一部のみ、まだまだ昔ながらの昭和風情漂う店舗の数々が地元の方々の支持を受けて以前と変わる事なく頑張っていらっしゃいます。ある時マイレビュアーさんのレビューを拝見し、その存在に衝撃を受けて以来、是非ともお邪魔したいと思っていた昭和食堂の「菊屋」さん、念願叶ってのお邪魔となりました。「菊屋」さんは主にタクシードライバーさんをお相手に営業なさっている故に、驚くのはその営業時間、夜中の2時半に店を開けお昼の12時に閉店、休憩を挟んで夕方16時から18時までという超不規則営業、日、祝日に至ってはお昼前の10時にお店を閉めるそうです。夏季休暇中運良くお邪魔するチャンスに恵まれました。営業されているか、いないかは運次第、それも楽しみのひとつと事前の確認は敢えて致しません。朝6時半に自宅を出発し1時間程で押上に到着、7時過ぎと言えども既に気温は30度近く、朝日が当たるスカイツリーが眩しく映ります。言問橋方面へとテクテク歩くこと5,6分、大きな交差点の角に「菊屋」さんは静かに佇んでいます。この道は何回も通っていますが、全く気付かなかった程の存在感の薄い食堂、暖簾が掛けられていないのがその理由の一つでしょう。その凄さに「何じゃこりゃぁ〜 」と思わず声をあげてしまった程、暫くボーッとお店の前で立ち竦んでしまいました(笑)暖簾が無く、中の様子も全く見えない状況に、先ずは営業しているのかと言う不安にかられてお店の前を行ったり来たり、意を決して開きにくい戸をガラガラと引くと先客がお一人、ご主人とテーブルに座って話をしています。「あの〜、宜しいですか?」と不安気に尋ねれば「あっ〜、いらっしゃい。どうぞ!」とご主人の優しい声、胸をホッと撫で下ろしてパイプ椅子に腰掛けました。「瓶ビール!と冷奴(300円)をお願いします。」「ビールはアサヒ?麒麟?」選べるのが何とも嬉しい限り、もちろん麒麟ラガーをお願いしました。キリッと冷えたラガービールをグラスに注いで一気に注ぎ込めば思わず「旨めっ〜!」と、朝8時のビールは最高です(笑)冷奴も豆腐一丁を使い、刻み葱に花鰹、そしてミョウガがタップリと乗せられた素晴らしさ、夏らしくサッパリと良いアテとなり、ビールがグングン進みます。改めて店内を拝見すれば、ある時から完全に時間が止まったままの昭和そのもの!言葉が出ない程の素晴らしさにジィ〜と見惚れてしまいます。ハタから見ればただの可笑しい親父です(笑)と目に留まったのが店の左奥に佇む木製の冷蔵庫「あれは昔の木製の冷蔵庫ですよね?」とご主人に尋ねれば「そうだよ。もう使ってないけどね(笑)」いやぁ〜これにはビックリ、しかもその大きさたるや私の背丈程も有る立派な冷蔵庫、未だかつてこんなに大きな木製冷蔵庫は見たことがありません。「開けてみても良いよ!あぁ、そっちからじゃ無くて横から先じゃないと開かないよ(笑)」と有難いお言葉、その重厚な雰囲気と興奮で手が震えてしまいます。酎ハイ(370円)にチェンジして、〆にはご自慢のカレー(300円)をお願いしました。「辛いからね。」と炭の入った水のペットボトルを置いてくれるのも細かい気遣いです。肉がゴロゴロ入ったスパイシーな美味しいカレーが300円とは有難い限り、最後の最後まで大満足の食堂呑みとなりました。紹介して頂いたマイレビュアーさんに感謝、感謝です。ご馳走さまでした。
菊屋」食べログ