こころ













地下鉄南北線東大前駅徒歩5,6分程、東大正門前、創業1955年 (昭和30年) の喫茶店「こころ」さん。このお店の存在を知った時から、是非とも伺いたいと思い続けて1年以上、ようやく念願叶ってお邪魔することが出来ました。昭和の匂いプンプンの雰囲気も然ることながら何と言ってもこちらの魅力はあの「新宿中村屋」さん発祥の地、最初の店舗ということ。1901年 (明治34年) に長野から上京して来た相馬愛蔵・黒光夫妻が「中村屋パン店」を開いたのがまさしく「こころ」さんの建物、クリームパンを考案したりと恐らくかなりの人気店であったと思われますが、6年後の1907年 (明治40年)に更なる飛躍をすべく新宿に移転をし、現在の「新宿中村屋」の繁栄に至ったそう、移転当時、本郷の店舗は愛弟子に任せ、その愛弟子がその後「こころ」さん続きの長屋の端に引越しをし、その空いた「中村屋パン店」の店舗を「こころ」の初代店主が買取り、1955年 (昭和30年)に現在の「こころ」開店に至ったそうです。喫茶店オープン当時は「中村屋」さんのパンを焼く窯などがまだあったそう、そんな話を耳にしてから早く伺いたいと思ってのお邪魔、逸る気持ちを抑えて昔ながらの薄く色の付いた戸を引きました。「いらっしゃいませ。」と奥様でしょうか、とても柔らかく優しい声で迎えてくれました。「珈琲をお願いします。」店内はとても静かな空気が流れており、何とも言えない魅力で満ち溢れています。1階にはテーブル8卓程、ブルーとグリーンの椅子のコントラスト、レジの背の壁、手作りの人形の数々、一つ一つに目が釘付け、「2階を拝見させて頂けますか?」と尋ねれば「写真ですか? 少しお待ち下さいね。」と電気を点けて頂いたりととても優しく対応して頂き恐縮した次第「この2階の窓から見る風景がとても素晴らしいんですよ。緑の季節、黄色に色付く季節、雪の景色、本当に良くてねぇ。この2階は会合とかにも使って頂いているんですよ。」色々とお話を聞かせて頂き有難い限り、様々な歴史を経てきたからこその今の魅力と素晴らしさ、少し気になったのが長屋続きの右隣の2店舗が取壊したようで影響が無いと良いのですが・・これからも末長く守り続けて頂きたいと切に願います。思った通りの素晴らしい喫茶店でした。ご馳走さまでした。
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